Shopifyは、オンラインストアの運営をよりスムーズにするために、お客様アカウントの仕組みをアップデートしました。今回は新しく追加された「新しいお客様アカウント」と元々存在している「従来のお客様アカウント」の違いについて触れていきたいと思います。それぞれのお客様アカウントには異なる特徴があり、用途によって適したアカウントタイプを選ぶことが重要です。本記事では、それぞれの違いやメリット・デメリットを解説します。
1. 「新しいお客様アカウント」とは?
「新しいお客様アカウント」は、よりシンプルなログイン方法を採用しています。ログインする際はパスワードを使用することはなく、メールアドレスに15分間だけ有効な6桁の番号が送られ、その番号を使用してログインする方式になっております。
特徴
- メールまたはSMSを利用したワンタイムコードログイン(パスワード不要)
- Shopifyの標準機能として提供され、ストアの設定で簡単に有効化できる
- チェックアウトと統合され、スムーズな購入体験を実現
メリット
- ログインの手間が少ないため、ユーザーがアカウントを作成しやすい
- セキュリティ向上(パスワード管理の不要)
デメリット
- パスワードログインができない(従来の方法に慣れているユーザーには不便)
- サードパーティアプリとの連携が制限されるため、既存アプリの機能(例:ポイントプログラムなど)が利用できない場合がある
個人的にはセキュリティ面でのメリットが非常に大きいと感じています。ブルートフォース攻撃(Brute force attack:総当たり攻撃)と呼ばれるパスワードを破るための手法が昨今非常に増えており、2段階認証やワンタイムコードログインの重要性が高まってきました。よって、今回のShopifyの「新しいお客様アカウント」への移行もセキュリティ面を重視しての変更という意味合いも大きかったのではないかと推測しています。
そして、現在新規ストアを構築すると「新しいお客様アカウント」がデフォルトで選択されているので、Shopifyも今後どこかで「新しいお客様アカウント」に完全移行することもあり得ると考えております。
どんなストアにおすすめ?
- セキュリティ面を重視したいストア
- 完全新規のストアで「従来のお客様アカウント」でのカスタマイズを行なっていないストア(将来の移行コストがなくなる)
- 「従来のお客様アカウント」で不正利用されることがあったストア
2.「新しいお客様アカウント」のプロフィールページをカスタマイズする方法
「新しいお客様アカウント」は、Shopifyの標準機能として提供されるためカスタマイズの自由度が低いとされています。しかし、H. New Customer Profile Blocksアプリを活用することで、プロフィールページのカスタマイズすることが可能になりました。
https://apps.shopify.com/customer-account-app
具体的には下記のことができるようになっています。
プロフィールページへのバナー画像の追加
プロフィールページへの顧客メタフィールド(編集可/表示のみ)の追加
プロフィールページにメタフィールドやバナー画像を追加
このようにH. New Customer Profile Blocksアプリを使用すると、新しいお客様アカウントのプロフィールページにメタフィールドブロックやバナー画像ブロックを追加できます。これにより、以下のような機能を実現できます。
- プロフィールに追加情報を表示(会員ランク、誕生日、好きな飲み物など)
- 特別なキャンペーン情報のバナーを表示(セール情報、コーヒー特集など)
これにより、新しいお客様アカウントを活用しながら、ブランドの個性を反映した独自の顧客体験を提供できます。
https://apps.shopify.com/customer-account-app
3. 「従来のお客様アカウント」とは?
従来のお客様アカウントは、パスワードを使用してログインする従来型の仕組みです。今までのストアではこちらの「従来のお客様アカウント」が活用されてきました。
特徴
- メールアドレスとパスワードを使用したログイン方式
- テーマのコードで要素の編集などが可能
- サードパーティアプリとの連携が容易
メリット
- カスタマイズがしやすい(ポイントプログラムや会員限定機能などの実装が可能)
- パスワードによる認証で、従来のオンラインショッピング体験に慣れたユーザーが利用しやすい
デメリット
- パスワード管理の負担(ユーザーがパスワードを忘れる可能性)
- ログインの手間が増えるため、一度きりの購入者には不向き
- セキュリティリスク(パスワードの流出など)
4. どちらを選ぶべき?
ストアの目的やターゲットユーザーによって適したアカウントタイプを選ぶ必要があります。
新しいお客様アカウント | 従来のお客様アカウント | |
---|---|---|
適したストア | シンプルな購入体験を提供したい、パスワード不要で手軽にしたい | 従来のメールアドレスやパスワード方式で進めたい |
ログイン方法 | ワンタイムコード(メール/SMS) | メールアドレス+パスワード |
カスタマイズ | アプリのみ | アプリやテーマで編集可能 |
セキュリティ | 高い(パスワード不要) | 通常レベル(パスワード管理が必要) |
5. まとめ
「新しいお客様アカウント」は、シンプルで使いやすく、パスワード不要のログイン方式を提供するため、セキュリティを担保した上でストア運用を行うことができます。一方、「従来のお客様アカウント」は、コード編集が可能であったり、パスワードに慣れたユーザーが使用しやすい方法となっています。
ストアのビジネスモデルに応じて、どちらのアカウントタイプを採用するかを検討しましょう。Shopifyの設定では、どちらのアカウントタイプも選択可能なので、最適な方法を見つけて運用することが重要です。